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アメコミ初心者が最初に読んだコミック「ベスト・オブ・スパイダーマン」

学生時代に夜食を買いに訪れたコンビニで投げ売りされていた「アイアンマン」のDVDを何の気なしに手にとり、暇つぶしがてら観てみたのがマーベルとの出会い。

この映画の世界観やアイアンマンというキャラクターに魅了され、その夜は続きが気になって興奮して眠れなかったのを覚えています。その後すぐに続編を観て、MCUとは異なる世界観のマーベル作品を見てみたり、マーベルとDCの違いも知らずにバットマンを観てみたりと、思えば僕のアメコミ好きは映画とともありました。

 

でも実は映画の元となっているコミックはほとんど読んだことがありません。

別に避けていたわけではないのですが、何を何処から読めば良いのかが分からず苦手意識があったのは事実です。そんな中、「マーベルの父」スタン・リーの訃報を受けて彼について調べていくうちに、彼が全身全霊を注ぎ込んできたコミックにとても興味が湧いてきました。

そこでAmazonで「スタン・リー  翻訳本」で調べて比較的価格も良心的な「ベスト・オブ・スパイダーマン」を購入してみたので、今回はそのお話。

スパイダーマンを知るための傑作選
「ベスト・オブ・スパイダーマン」

本書はスパイダーマンの傑作選で、1962年から1992年の30年の間に発表されたエピソードの中から選りすぐりの8作品が収録されており、当初の目的であったスタン・リーが手がけた古典作品を読むことができます。

数あるエピソードから絞り込んで構成されているため、中途半端な終わり方で続きが気になってしょうがないエピソードもありますが、解説書が同封されており、登場人物の説明や各エピソードの補足が書いてあるのでぼくのようなアメコミ初心者でも楽しむことができました。

(スパイダーマンの過去映画を見たことあれば割とすんなり内容が入ってきます。)

全てはここから始まった
「スパイダーマン誕生!」

まず初めに収録されている作品は「スパイダーマン登場!」。これは短編や読み切り作品中心のAmazing Fantasy#15に収録されていたもので、まさに初めて世にスパイダーマンが登場したときのエピソード。今から実に56年前に掲載されていたコミックです。

勿論スタン・リーが生み出したストーリーなのですが、当時のマーベル・コミックの社長からは掲載することを反対されます。クモ好きな人間なんているわけないし、そもそもティーンエイジャーが主役のコミックなど流行るわけがないと思っていたそうです。

それでもスパイダーマンはヒットすると確信していたスタン・リーは、この「AmazingFantasy」の最終号にこのスパイダーマンを忍び込ませたそうです。彼の大胆な判断によりスパイダーマンは世に登場し、世界的に人気のヒーローになっていったわけですね。

画像引用元:ShoProBooks(ベスト・オブ・スパイダーマン)より

話は映画でもお馴染み、科学オタクのピーター・パーカーが放射線を浴びたクモに噛まれるところから始まり、そのスーパーパワーを使ってTVスターになった後に起こるあの悲劇までを描いています。

画像引用元:ShoProBooks(ベスト・オブ・スパイダーマン)より

この悲劇を経てピーターは弱いものを守るために自分の力を使うと誓います。そう「大いなる力には大いなる責任が伴う」ということを理解し、ここに「スパイダーマン」が誕生したのです。

イラストやコマ割りには時代を感じますが、読みにくいといったことはありません。

ホームカミングでもオマージュされた?
「不屈の精神」

次に収録されているのは単独誌「アメイジングスパイダーマン#33」に収録されていた「不屈の精神」。

本当はこの話の前に#31と#32があり、いきなり最終話の#33のストーリーからなのでちょっと驚きますが解説書を読めば何が起こっていたのか分かります。

画像引用元:ShoProBooks(ベスト・オブ・スパイダーマン)より

また、本エピソードでは映画スパイダーマンホームカミングでもあったような、瓦礫の下敷きから立ち上がるシーンが印象的でした。4ページに渡ってピーターの奮闘と想いが描かれており、コマ数にして18コマ。

愛するメイおばさんのために力を振り絞るピーター。見ているこちらもつい力が入りる素晴らしいシーンです。

またラストの4コマもまるで映画のような演出で見どころです。

少年は大人になる
「引退宣言」

スパイダーマンでいることで犠牲になっていることがあることに気づくピーター。そんな中デイリー・ビューグル誌のジェイムソンの発言が更に彼を追い込む…。

画像引用元:ShoProBooks(ベスト・オブ・スパイダーマン)より

映画スパイダーマン2でも印象的だったゴミ箱にスーツを捨てるシーンはこれのオマージュだったんですね。

引退をキッカケに様々なヴィランが悪巧みを始めます。Netflixデアデビルでも存在感抜群だったキングピンも登場しここから面白くなりそう!というところでバッツリ切れちゃってるのは少し残念。解説書にはその後のストーリーについても補足があります。

今回一番のお気に入りストーリー
「スパイダーマンを集める少年」

スパイダーマンと、その大ファンである少年との会話を11ページに渡ってい描いている本エピソード。

画像引用元:ShoProBooks(ベスト・オブ・スパイダーマン)より

ピーターはスパイダーマンのファンだと語るこの少年の質問になんでも答えていきます。絶対話しちゃだめでしょ!っていう話も言葉を詰まらせながら話してしまうんです。

果たしてその理由は…。

ラスト2コマでそのすべてが分かります。この演出も素晴らしいです。

是非本書を手にとって読んで頂きたいエピソードですね。

心温まるエピソード
「その後のクラッシャーホーガン」

本書の1話目にちょっと登場したクラッシャーホーガン。彼を中心とした心温まるエピソード。

ピーターの人柄の良さが滲み出ており、弱者に対する思いやりの重要性を感じられる。親愛なる隣人とはまさにこういうことなのかもしれない。

画像引用元:ShoProBooks(ベスト・オブ・スパイダーマン)より

話題のダークヒーロー
「ヴェノム再び」

スパイダーマンの苦悩やほっこりエピソードばかりではなく、バトルシーンもしっかり収録されています。最近映画で話題となったヴェノムとの戦う話。

画像引用元:ShoProBooks(ベスト・オブ・スパイダーマン)より

2度目の戦闘となるスパイダーマンとヴェノム。圧倒的な強さの前に為す術がなくなるスパイダーマン。一体どうやってこのヴェノムを攻略するのか。個人的にはかなり予想外の結末でした。笑

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お馴染みのヴィラン達も登場

最後の2作品の「父と息子と罪と」、「オズボーンの遺産」はいずれも、映画でも登場したあの有名なヴィランとの戦闘が描かれています。

画像引用元:ShoProBooks(ベスト・オブ・スパイダーマン)より

画像引用元:ShoProBooks(ベスト・オブ・スパイダーマン)より

いずれもヴィランと化した父親とその家族にまつわるエピソード。映画でもお馴染みのヴィランたちとの戦闘なのですが、その面白さを吹き飛ばしてしまう1コマが140ページ目にあるんです。

続きが気になってしょうがなくなる1コマ。解説書を見ても真相は謎のまま…。

これからアメコミを読んでみようと思った

面白かった!特に「スパイダーマンを集める少年」のエピソードはまるで映画を見ているような展開と演出で見ていて引き込まれました。他にもスパイダーマンとして生きていくピーターの迷いや葛藤が丁寧に表現されていて、彼の魅了を感じられる1冊でした。

コミックとしての楽しさは勿論、映画のあのシーンはこれのオマージュかなとか考えながら読むと更に楽しめましたし、今後このエピソードの映画化をするとこんな感じかなーと妄想するのも楽しいです。

そもそも映画を見て大枠のストーリーを理解しているからこそ、アメコミ初心者でも楽しめたのかもしれません。

そう考えるとアメコミへの苦手意識は軽減されました。

僕が生まれるよりもずっと、ずっと前、今から50年以上も前のコミックにも関わらず今でも楽しめる。しかも僕のようなアメコミ初心者が読んでも引き込まれるストーリー。

これこそがスタン・リーが伝説となり得た要因ではないでしょうか。

これからもう少しアメコミを読んでみようと思います。

次は大好きなアイアンマンのエピソードを読んでみよう。

あ、読者の方でオススメのアメコミあれば教えて下さい!

それでは!